死神さんたちとわたし。



教室に入ると、思った通り一斉に全員の視線が集中した。



ほらきた。



学生は、あの2人付き合ったんだって!と、あの2人別れたんだって!の情報網がめちゃめちゃ早い。



気にしないふりをして席に着く。面倒くさいな。こんなことになるなら初めから断っておくんだった。

そうだ。皆の前で告白されて断りにくくてオーケーした、なんてただの言い訳だろう。

わたしが最初から拒否していたらこんな風に後悔はしていなかったはず。


わたしが全部、悪いんだ。




「守山さんってさ、そんなに好きじゃなかった、って言ったらしいよ。薫に」

「よく見たらそこまで美人でもなくない?薫は顔で選んだって言ってたけど、どこが?って感じ」


小さい声ではあるが、女生徒2人が隅でわたしのことを話している。静かな教室内では筒抜けだ。その声につられてか他の女子たちもコソコソと話し出した。

どんな、顔をしたら。


思わず俯くと、頭に大きな手が乗った。
それはとても冷たくて。



弾けるように顔を上げれば…。



「他人の事情が、そんなに気になるんかね!!要は可愛くて美人な慶に嫉妬してるただの醜い連中だろ。鏡を渡してやりたいね」

「えっ……」

「しっ!!俺の声、彼女らに聞こえてないんだろう?慶は何も喋っちゃだめ。これは慶を慰めてるわけでも庇っているわけでもないから!」


深緑色が、更に深くなったような気がして。その目は怒りに満ちているようで。

死神さんは、大きな声で続けた。


「慶はどの子より可愛いから難癖つけたくなる気持ちもわかるけど、性格まで慶に負けてたらどこに勝てるんだろう?人の気持ちを考えて自分を犠牲にする、とてもいい子なのに」


昨日会ったばかりの奴に何を言わせてんだわたしは。情けない。


頭に乗ったままの冷たくて大きな手は、優しくわたしの頭を撫でる。