「姫香、ちょっと話があるから下に降りてきなさい。」

両親は突然私を呼び出した。

……?

何だろう……?

私は、静かに階段を下り両親のいるリビングに向かった。

「どうしたの……?」

「いいから、姫香はそこに座りなさい。」

そう言われ、私は椅子に座り少し無言の沈黙状態になった。

「あ……あの。なに…?突然呼び出して?」

「姫香。高校からはいとこのいる家で一緒に生活しなさい。」

「……え?」

私は事態が呑み込めなかった。

「ちょ……!ちょっと待って!いとこのいる家って、地方だよ!?東京じゃないんだよ!?」

「当たり前のこと言ってどうするの!姫香は一回東京から離れなさい。少しは色々と視野が広くなる

と思うから。」

「え…?逆に狭くなるんじゃ…?」

お母さんは、怒りの糸が切れたのか顔が豹変した。

「行く前から文句言わないの!!いいから、今から持ってく荷物考えなさい!!自分の分だけ!」

「はい!分かりました…ん?自分の分だけ……?」

私は、「自分の分だけ」という言葉に引っかかったので

恐る恐る尋ねた。

「そうよ。いとこの家に行くのは姫香一人だけよ。さっ

き分かりましたって言ったんだからもう決定だから

ね。」

は……はめられた。

私は、怒りと自分のアホさを恨み荷造りを始めた。