下校時刻になった。

私は、鞄に筆記用具などを入れて教室を後にした。

「はぁ……。なんで私、こんなに胸が苦しいんだろう…?」

胸が焼けそうなそんなくらい、私は悩まされていた。

「何溜め息ついてんだよ?」

「!?仁人!?いつの間に!!」

「お前って、本当に鈍いよな…。」

そう言い、仁人は悪戯気に笑い当然かのように私の横にきて歩き出す。

「で、なんで溜め息ついてたんだよ?」

「え…えっと…、そ…それは……。」

仁人の話を聞いた後、胸が苦しくなったなんて言えない……!!

「……。なぁ…。また一人で悩み抱え込んでんのか?」

「!?」

なんで、私の気持ちが分かるの…!?

「はぁ…。姫香は昔から嘘つくのが下手だったよな。」

え……?

昔から……?

仁人は、私の頭に手を当て撫でた。

少し、優しく触れた手に私はなぜか落ち着いた気持ちになった。

その時だった。

私の頭の中で電撃が走った。

私は、昔小さかった頃同じような場面で仁人に頭を撫でてもらい心配されたことを思い出す。

それは、今と同じような表情で私を見つめていた。

私は、立ちくらみがし一瞬よろめいた所を仁人は私を支えた。

「どうした!?大丈夫か!?」

「え……?あぁ、大丈夫だよ。」

今のは記憶は一体何なんだろう…?