いよいよ、高校の入学式。

胸の鼓動が高鳴り、緊張のあまりに足と手の動きが一緒だった。

「大丈夫か?姫香。」

「だ…大丈夫だよ…!!」

「その割には俺と目が合ってないけど…?」

「!?」

ど…どうしよう…!!

緊張が隠し切れない……!!

また、失敗して一人ぼっちになったらどうしよう…!?

私は、頭の中で自分に問いかけていた。

「-っ!!はぁー!!仕方ないな!ちょっと、手だして!」

「え…?こう?」

すると、仁人はカバンからペンを取り出し私の手に何かを書き始めた。

「……。よし!!これで、大丈夫!!」

私は、見てみるとそこにはこう書いてあった。

『頑張れ!!友達1号の俺が言ってんだから大丈夫!』

その言葉は、私の緊張を和らげてくれた。

『友達』……。

その言葉は、今まで私が欲しかった言葉だった。

こんなに、心強いものなんてない……。

「ありがとう!仁人!!私、頑張るから!!」

そう言い、私は気合を入れ直し学校に向かった。

「友達……か…。」

「?何か言った?仁人。」

「いいや!何もない!」

私は、その時見逃さなかった。

仁人が笑顔で笑ってるのに、どこか悲しい瞳で私を見ていることを…。

その瞳が、私の心を焼き付けるように胸が痛かった…。

君がそんな悲しい瞳をする理由が、私はまだ分からなかった……。