「今日は、ヒロにプレゼントがありまーす」


土日が明けて、月曜日の昼休み。

サンドイッチを食べ終えた明希ちゃんが、突然重大発表をするかのように話を切り出した。


「プレゼント?」


いつもより元気に見える明希ちゃんの言葉に、空になった重箱を風呂敷で包んでいた手を止める。


「いえす、ぷれぜんと」


「でも私誕生日じゃない」


誕生日でなければ、お祝いされるようなこともしてないし、プレゼントを貰える理由に心当たりがない。


「いーからいーから」


明希ちゃんが、私の戸惑いを受け流しながら、机にかけたスクールバックを探る。


私は、こちらに向けられた柔らかそうなアッシュブラウンの髪と、下を向いたことによってより強調される、瞼を縁取る長い睫毛を見つめた。


いつ見ても綺麗な造形だ。


……結局、今日も私はここに来てしまった。


こんなにも迷うことは初めてだ。

今もまだわからない。ここに来るのが正しいのか。


だから、もう少しだけ様子をうかがうことにした。


簡単に切り捨てられないほど、明希ちゃんと一瞬一瞬を積み重ねてきてしまったから。