明希ちゃんは、救急車で近くの総合病院に運ばれた。


虎太郎さんには、とても助けられた。

ショックでなにもできずにいる私に声をかけ、明希ちゃんの付き添いとして、今も明希ちゃんの家族と医師の話を聞いている。

家族に連絡をしてくれたのも、虎太郎さんだった。


私はひとり、大きな待合室の長椅子に座って、診察の結果を待っていた。


日曜日の緊急外来は、私の他には人がいなくてガランとしている。

時折、忙しそうに看護師が目の前を走っていく。


静寂の中では、より一層時間の流れが遅い気がする。


どうか、無事でありますように……。

手の甲に爪が食い入るほど強い力で手を合わせて願う。


ひとりでどれくらい待っていただろう。

病院の壁に掛けられた時計が18時を指した頃、「失礼します」という声と共に診察室から虎太郎さんがひとり出てきた。