昼休み、美術準備室前。

私はほんの少しの緊張と、ほんの少しの躊躇を持って、そこに立っていた。


昨日、私はここで、〝ファン一号くん〟の双子の弟に出会った。


『また明日も来てよ』なんて言われたけど、あれは本気だったのかと、今更変に訝しんでしまう。

あの時は優しそうな笑顔にほだされたけど、今思えば、彼は私が最も敬遠しがちなキラキラした部類の人だった。


だれかと話すのが久しぶりだったからか、警戒心が強くなっている。


……まぁでも、教室にいたって、どうせやることもないし。


からかわれているだけだったとしても、そのときはそのときだ。

最初から人に期待なんてしていない。


冷静で客観的な答えが出て、私はドアに手をかけた。