「ふたりで、こーんなおおきいおしろにすもうぜ!」


大とずっと一緒にいられる、そのことが嬉しくてワクワクして、ぱぁぁっと笑みが広がっていく。


「……うん!」


弾けるようにそう答えようとした時、ぱちっと、目の前の大の笑顔が消えた。


代わりに視界に飛び込んできたのは、天井と、なにかを追いかけるように天井に向かって伸ばされていた自分の手。


窓から差し込む眩しい光を嫌悪するように、私は目を細めた。


「……夢……」


伸ばした手を引き戻し、目元に乗せる。


もう何度見ただろう、同じ夢を。

これは、幼稚園に通っていた頃の実際の思い出だ。


いつから好きだったかなんて覚えてないけど、この頃はもう、大のことが大好きだった。


「ずっと一緒にいたいって言ったじゃない、ばか大……」


小さく非難めいて呟けば、その声はだれに届くことなく、朝の眩しく澄んだ空気に溶けていった。