「あ、後藤先生ー。
今日は五条さんの授業
俺じゃなくても
大丈夫そうですかー?」


と、言って
教室に入ってきたのは
桜井先生だった。



「あー、桜井先生。
先週は急にお願いして
申し訳なかったです。」


「いえいえ。
五条さんは
後藤先生の授業より
僕の授業の方が好みかも
しれないですよ?(笑)」


「え?」


「だって、
僕の説明をしっかりと
聞き入るように
真剣だったんですよー?」



「そりゃあ、
授業をしっかり聞いてるのは
受験間近だからですよ。
何言ってんですか、桜井先生。」


少し怒りぎみに
こたえる後藤先生。


 
「なら、どちらの授業が好きか
五条さんに聞いてみましょうよ。」


「まりなちゃん、どっち?」


え、いきなり何で
そんなこと聞かれるの!?

 

「え、えーっと…」


突然の質問に戸惑ってしまった。



「僕でしょ?」

「俺だよな?」


二人の先生の視線が
私に集まった。


「わ、私は…
後藤先生の授業が
好きですかね」



「だよな!」


「なーんだ、
僕の生徒になっても
全然構わないのに(笑)」


「俺の生徒ですから。
残念でしたー(笑)」


何故か、
してやったりな顔をして

桜井先生に言っているのが
可愛くみえてしまった。


「はいはい、僕の負けですよ。」

そう言って
桜井先生は
教室から去っていった。