もうすぐ10月になるというのに、ナオはまだ忙しそうにしている。
詳しくは聞かないけど、異物混入の件でまだやることがたくさんあるんだろう。
マンションに帰ったらコンシェルジュに呼び止められた。
「お帰りなさいませ、水嶋様。お手紙を預かっております」
…私はまだ水嶋じゃないけど、そこは気にしないでおこう。
「私宛ですか?主人じゃなくて…」
「ええ。ご主人に見られないようにとのことです」
…主人でもないけど。主人だなんて照れ臭い響きだと、あとになって顔が火照った。
受け取ったのはシンプルなレターセットの封筒だ。
『明里さんへ』
と書いてあるけど、裏面に差出人の名前はない。
不思議に思いながらも、待ちきれずにエレベーターで封筒を開けた。
中に入っていたのは二つ折りの紙。
『話があります。
明日7時、フローラルカフェで。
樺沢莉乃』
…莉乃さん?
ワイン事件のトラウマなのか、名前を見るだけでおののいてしまう。
話ってなんだろう。今さら何を話すことがあるんだろう。
考えるだけで動悸がしてくる。
そういえば、ナオに黒岩さんと莉乃さんが会っていたことも話していない。
その後黒岩さんが仕事に行っているのかどうかも、ナオには聞いていない。
詳しくは聞かないけど、異物混入の件でまだやることがたくさんあるんだろう。
マンションに帰ったらコンシェルジュに呼び止められた。
「お帰りなさいませ、水嶋様。お手紙を預かっております」
…私はまだ水嶋じゃないけど、そこは気にしないでおこう。
「私宛ですか?主人じゃなくて…」
「ええ。ご主人に見られないようにとのことです」
…主人でもないけど。主人だなんて照れ臭い響きだと、あとになって顔が火照った。
受け取ったのはシンプルなレターセットの封筒だ。
『明里さんへ』
と書いてあるけど、裏面に差出人の名前はない。
不思議に思いながらも、待ちきれずにエレベーターで封筒を開けた。
中に入っていたのは二つ折りの紙。
『話があります。
明日7時、フローラルカフェで。
樺沢莉乃』
…莉乃さん?
ワイン事件のトラウマなのか、名前を見るだけでおののいてしまう。
話ってなんだろう。今さら何を話すことがあるんだろう。
考えるだけで動悸がしてくる。
そういえば、ナオに黒岩さんと莉乃さんが会っていたことも話していない。
その後黒岩さんが仕事に行っているのかどうかも、ナオには聞いていない。