【短編】君の笑顔が見たくて

俺は、ペーパーナイフをカバンから取り出そうとしたができなかった。

いや、できたのにできなかった。

それは、今の君はまだ冷静でまだ話が分かると思ったからだ。

俺はキリに質問した。

「俺、これからすごく変なこと聞くかもしれないけどキリ。お前、俺を死ぬほど憎んでるか……?殺した

いほど憎んでるか……?」

俺は、恐る恐る聞いた。

キリは背を向けたまま、長い髪が風に揺れながら黙っていた。

すると、キリはこう言った。

「君は、今日絶対僕を殺さなきゃだめだよ。」

その言葉と、君が笑っている顔に俺は心臓が止まりそうになった。

それは、さっきまで暖かな目をしていた君が、いつの間にか冷たい目に変わっていた。