そう思うと、午後からの仕事に没頭しすぎてしまった。
少し疲れを癒そうと給湯室でミルクティーを作っていると、いつのまにか後ろに人が立っているのに気づいた。
「課長!?」
真後ろのドアに背を預けて立っているのは課長だった。
「どうしたんですか?ビックリするじゃないですか」
「お前、ほんとに大丈夫なのか?元気ないぞ」
「だ、大丈夫ですよ。もう治りましたし」
「ほんとだろーな?」
そう言って顔が近づいてきたと思うと、またコツンと額をくっつけられた。
カァーっと顔が赤くなるのが分かる。
「まぁ、熱はないか。でも顔は赤いな」
「か、課長がいきなり近づくからじゃないですか!」
シンクを背にして、少し身を引く姿勢になっている私を取り囲むように両手をついて迫ってくる課長。
「こんなことくらいで赤くなってたら、これから先どーなるんだよ」
「こ、これから先…って?」
「可愛がってやるって言ったろ」
「あれは、じょ、冗談ですよね?」
「冗談なんかでこんなことすると思うか?」
課長の顔がまた近づいてきたかと思うと、今度は温かい唇に食まれた。
「っ!」
何度も何度も角度を変えて息づかいが荒くなる。
課長の胸に手を押し付けても、力強い腕で押さえられて抵抗できない。
息つく暇もなく与えられる濃厚な口づけに呼吸すらできない。
腰が砕けそうになる私を支えて、整った端正な顔の課長が妖艶な目で私を見つめて笑う。
さらに赤くなる顔と弾ける心臓の音の騒がしさに反して、私の頭の中は真っ白になってしまった。
「まだまだだな、こんなんじゃ今までのお仕置きにもならない。風邪が治ったんだから容赦しないぞ」
「し、仕事だったら頑張りますけど、こんなの!」
「俺にあれだけ散々言ったんだから、これくらいじゃ文句言えないだろ」
「あれは課長がいるなんて思わなかったから」
「だったらお前も相当腹黒いな」
「そ、そうですけど…」
反論できない。
できないからこそ仕事で返そうと思ってたのに。
「どうしたらいいんですか?」
「今日の夜空けとけよ」
「え?」
色気しか感じない流し目をして、課長は給湯室を出て行った。
空けとけって…どうするつもり?



