見つめ合い、再び唇を重ねる。

何度も、何度も。


結弦君から香る匂い…

クラスの男の子の匂いとは違う


すごく、いい匂い。



「ーーー泉、口開けて」

「…え、え、」



遠慮がちに少し開ける。

すると再び重ねた唇のあいだから温かいものが入ってくる。



「んーーーっ、ゆ、づるく…」



なにこれ、なにこれ、なにこれ


頭がフワフワするーーー



「息、できな…」

「泉…可愛い」




誰かに可愛いなんて言われたのは初めてで

でもきっと結弦君じゃなかったら

こんなに嬉しくてドキドキはしないと思う



「結弦君…私、」


自分の気持ちを口に出そうとした時
頭に浮かんだのは 啓介の顔


啓介のこと、ちゃんとしないと…



「ん?どうした?」

「あ、えっと…」

「あーごめん、電話だ」



結弦君の携帯の着信音。



「もしもし。うん。わかった、今からいくよ」



電話をきると

「ごめん、帰らないと」

と申し訳なさそうに言った。



「そっか……」

「また月曜日な」

「うん…」



私の頭をクシャッとして

公園を出ていった



電話……彼女からかな

すごくーーーー嫌な気持ち



今から会うのかな

私にしたみたいなキスをするのかな



すごく すごく 嫌で。

引き止めたくなるのを必死に押さえ込んだ。



私には、そんな資格ないーーー