千代と付き合い始めたのは小学五年生の時。


と言っても、その頃は付き合うとかよく分かっていなかった。


ただ、お互い好きだということを伝えあっていただけの関係だ。



千代はサバサバしていていつもクラスの男達みんなと仲が良かった。

もちろん俺もそのうちの一人で、千代とはよく遊んでいた。



「私、イガのこと好きなんだけど」



恥ずかしそうにしながら精一杯勇気を出して伝えてくれた千代に対して心の底から愛おしい気持ちになったのを覚えている。


あの頃は、学校の帰りにこっそり手を繋いだり
ノートの切れ端に好きだよと書くだけで幸せだった