若が立ち去ったあと




場は少し騒がしかった。





「若が女を…」




という声があちこちで聞こえる




黒崎組の組員と黒龍のメンバーたち





「お前ら



今見たものは口外するな



絶対にだ」





「「「はっ…」」」




あの女が何者であるか分からないうちは






情報が出回るのは控えたい







彼女が仮にも追われている立場だとすると






厄介なことになる。








それにしても






(龍太も珍しいことをしたもんだ)






俺と仁は車に乗り込み






黒崎組の事務所へと向かった






「あの女の情報は何か掴めましたか?」





今まで黙っていた仁が口を開いた






「いや、詳しいことはまだだ




宮野結愛 5月6日生まれの17歳 血液型はA型



現在、八城高校普通科に通う高校2年生



西橋区のマンションに在住




家族はサラリーマンの父と専業主婦の母の3人



くらいしかまだ分からない」








「さすが早いですね



きっとその情報、若が1番欲しがってると思いますよ」