《ロミオside》


「…なんだ、このガキは。」


夜の酒場。

私服に身を包んだ“ジョーカー”が、目を細めた。


「ん?僕の子ども。」


「…。」


眉間に深いシワを寄せた俺は、はぁ、と息を吐き、酒を口にしながら呟く。


「急に呼び出したと思ったら…。…あの女との子どもか?」


「いや、血は繋がってない。養子なんだ。」


ウサギの背に隠れながら、警戒心むき出しで俺を睨む少年。

ぴったりとウサギにくっつく彼だが、俺に少しは興味があるようだ。

じっ、と、こちらを見つめている。


「オズ君、オレンジジュースでいい?ちょっとあっちのテーブルで待っててくれるかな?」


ウサギの言葉に頷いた少年は、大きなグラスを両手で抱え、とことこと歩いていく。

俺は険しい顔をしながら低く尋ねた。


「…で?わざわざ俺に何の用だ?まさか、酒に付き合うだけか?」


「あはは!違うよ。今日は頼みがあってね。」


すると、こくん、とカクテルを飲んだウサギが、さらりと爆弾発言を口にした。


「ロミオ。オズ君の面倒をみてくれない?」


「…。」