するとその時、ぴくん!とエラが震えた。
何かを察したような彼女は、すっ、と僕から離れる。
?、と彼女を見ると、エラは険しい顔で僕を見上げた。
「…この魔力…まさか、トレメインさん…?」
(!)
ぽうっ、と空色の瞳を輝かせた彼女は、どこか様子がおかしい。
「あ…うん、そう。確か、そう名乗ってた。…エラ、知ってるの?」
みるみる眉を寄せる彼女。
険しい表情に、僕は目を見開いた。
低い彼女の声が響く。
「…魔力を分けてもらったって、どういうこと…?」
「え。」
「…まさか、あの人と契約を結んだの…?」
その声は完全に怒っている。
その時、脳裏に薔薇色の瞳の女性がよぎった。
魔女と一瞬だけ重なった唇。
堂々と“口づけを交わしたこと”を暴露した僕は、一気に体が凍りついた。
(まずい…)
契約の方法を、魔法使いのエラが知らないはずがない。
いくらエラに会うためだとはいえ、他の女とキスをするなんて許されることではない。
好きな女の子に、こんなにあっさりバレてしまうなんて。
「えっと、エラ…、言い訳するつもりもないけど、あれは仕方なく…!」
かっこ悪く動揺した僕は、彼女の目をまっすぐ見れない。
こうなることはわかっていた。
最悪だ。
…と、僕が必死に釈明しようとした
その時だった。



