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タッタッタッ…


ひたすら、足を動かした。

迷っている暇はない。


ガサガサガサ…!


茂みをかき分け道なき道を進んでいくと、やがて目の前に白い壁の家が現れた。

いかにも童話に出てきそうな可愛らしい家に、はっ!とする。


(ここか…?!)


辺りにほかに家はない。

僕は急いで石の階段を駆け上がり、玄関の扉を叩いた。


ドンドン…!


僕は、早く気持ちを抑えて呼びかける。


「エラ…!エラ!…僕だ!湊人だよ!」


すがりつく思いで声をかけた。


「いるのか?お願いだ、いたら返事をしてくれ……!」


…と、その時だった。


…キィ。


(!)


ゆっくりと音を立てた扉。

思わず後ずさりをすると、そこに現れたのはエラではなかった。


(子ども…?)


警戒するようにこちらを見上げるローズピンクの瞳。

小学生ほどの幼い少年が、扉から少しだけ顔を覗かせた。

ネコミミのついたフードを被った彼の“尻尾”が、ピン!と威嚇するように揺れている。