入会したからといって、良い人が次々に現れるとは思っていない。野々村が、ベストだったらどうしよう……。

野々村には、とりあえずお礼を簡潔に伝えた。次回に関しては、触れないでおく。

結婚相談所へ可否の連絡をするのは、明日以降にしよう。

メッセージ画面を閉じると、野々村の下の履歴は、昨日会った涼磨だった。

「……あれ?」

アイコンが変わっていた。

涼磨の元のアイコンは、食器輸入業者らしく、ティーカップだった。確か、白地にコバルトブルーの文様が手書きされた、有名ブランドのオーソドックスなシリーズだったはずだ。

それが、金彩の華やかなアンティークカップに変わっている。

そのカップを、千帆は知っていた。昨日行ったあの店で、一緒に見たからだ。

単に、珍しいものを写真に撮ったから、アイコンにしたのだろうか。

それとも……涼磨も少しは、昨日楽しいと思ったのだろうか。

野々村ほどではないにしろ、涼磨の考えなど、千帆にはまるで想像もつかなかった。

怒っていたり、不機嫌であったりしたわけではないが、涼磨が千帆に固執する理由が分からない。

それが分からなければ、涼磨の行動の意図が理解できるはずもなかった。

人生で2回くらいじゃ、デートは理解できそうにない。