「温かいうちに食べなさい」
「はい、ありがとうございます」
ストレートのままカップを近づけると、ふわりと紅茶の甘い香りが漂う。ケーキのような力強い甘さではなく、肩に乗ったおもりをふわりと取り除いてくれるような優しい香りだ。
口に含むと、その香りが体いっぱいに広がった。涼磨に声をかけられてからずっと続いていた緊張が、ほどけていくようだった。
「私、アフタヌーンティも初めてです」
サンドウィッチにスコーンにケーキ。お店の手作りなのだろう。素朴な愛らしさは、そのままインテリアにして、とっておきたくなるほどだ。
「そうか。遠慮せず、食べなさい」
涼磨が、見本のようにサンドウィッチを頬張る。
どれも二つずつ仲良く並んでいた料理が、一つずつ減っていく。
一つ、また一つと取り残されていくのが悲しくて、千帆もサンドウィッチを手に取った。
――本当に、私は誰かと結婚するんだろうか。
ふと、そんな考えが過ぎる。こうして、同じお皿から一つずつ分け合って食べ合う人を見つけられるのだろうか。
「君は、甘いものは好きか」
「よく食べます」
「……」
少し不自然な間の後、涼磨は続けた。
「嫌いな食べ物は、ないと言っていたな」
「はい」
最初に食事に連れて行かれたときに、聞かれていた。
「はい、ありがとうございます」
ストレートのままカップを近づけると、ふわりと紅茶の甘い香りが漂う。ケーキのような力強い甘さではなく、肩に乗ったおもりをふわりと取り除いてくれるような優しい香りだ。
口に含むと、その香りが体いっぱいに広がった。涼磨に声をかけられてからずっと続いていた緊張が、ほどけていくようだった。
「私、アフタヌーンティも初めてです」
サンドウィッチにスコーンにケーキ。お店の手作りなのだろう。素朴な愛らしさは、そのままインテリアにして、とっておきたくなるほどだ。
「そうか。遠慮せず、食べなさい」
涼磨が、見本のようにサンドウィッチを頬張る。
どれも二つずつ仲良く並んでいた料理が、一つずつ減っていく。
一つ、また一つと取り残されていくのが悲しくて、千帆もサンドウィッチを手に取った。
――本当に、私は誰かと結婚するんだろうか。
ふと、そんな考えが過ぎる。こうして、同じお皿から一つずつ分け合って食べ合う人を見つけられるのだろうか。
「君は、甘いものは好きか」
「よく食べます」
「……」
少し不自然な間の後、涼磨は続けた。
「嫌いな食べ物は、ないと言っていたな」
「はい」
最初に食事に連れて行かれたときに、聞かれていた。



