「霧!大丈夫?」

私は、やっと霧に追いつき声を掛けた。

「ごめん……。私終に好きな人がいること知らなくて……!!」

その時、霧は自分の頬を思いっきり叩いた。

「あーーーーーー!!すっきりした!!」

え…!?

一体何が起こって……!?

「恵梨香!私悔いなんてないよ!終くんに思いを伝えられて私すごくすっきりした。」

「霧……。」

私は、霧の近くに近づこうとした時。

「それに!終くんの好きな人誰か分かったし!」

「え!?分かったの!?今ので!?」

私は、びっくりした顔で霧に問いつめた。

「うーん……。さすがに言ったら、終くんのプライバシーに反するから教えなーい!てか、好きでも

ないのに何でそんなこと聞くの?」

「え……!?それは……。」

本当だ…。

私、なんでこんなに必死になってんだろう?

あいつの好きな人なんて別にどうでもいいし……!!

「もしかして……。一応確認だけど、恵梨香。今終くんのこと考えてるでしょ?」

「え!?なんでわかったの!?」

霧は、目を丸くしびっくりした顔で見た。

「恵梨香。自分は気づいてないかもだけど、それって……。終くんのこと好きってこ

とだよ?」

「え……?」

「だって、終くんのこと考えてて、いっつも終くんの姿を目で追ってるし!」

「え?ちょっと待って!目で追ってるってなんで分かるの!?」

私は、びっくりした表情で慌てた。

「そんなの、見れば分かるでしょ!恵梨香が終くんのこと好きだって。」

「じゃあ……。なんで、私に「終君のこと好き?」って聞いたの?」

すると、霧は私の目を真っすぐ見ていった。

「二人がずっとすれ違ったままだから、あえて嘘ついて手助けしたの!」

「え…?すれ違ってるって……?終の好き相手って……私?」

「はぁ……。やっとわかったか。本当に鈍いなぁ…。で、わかったでしょ?自分の気

持ち。」

自分の気持ち……。きっと、私は気づいてたのに気づかないふりをしていたんだ。

ずっと……。

「恵梨香、もう一回質問するね。終くんの事好き?」

もう、ためらう理由なんてない。

だって、親友の霧が気づかせてくれたんだもん。

「うん。私、終のこと好き!」

すると、霧は私の背中を押した。

「伝えてきな。終くんに気持ちを。」

私は、ずっと待たせてたんだ…。

終を待たせるのはもう終わりにするから……!

だから、待ってて。

気づいた気持ちを今、伝えに行くから……!

私は、今走り出した。

「私が、フラれたふりまでしたんだからちゃんと伝えなさいよ。」

霧は、恵梨香の遠くなっていく背中を眺めた。

だって、親友には幸せでいてもらいたいから。