クールな部長は溺甘旦那様!?

それに今度私の母親が上京してきたら、彼氏の時は紹介できなかったけどこの度めでたく婚約者になりましたって、ようやく報告することができる。

私は物心ついた時から母子家庭で育った。母は女手ひとつで三つ年上の姉と私を手塩にかけて育ててくれた。決して裕福な家庭ではなかったけれど、母と姉と一緒に暮らした日々は幸せだった。大学進学のために上京する私の背中を押してくれたし、立派に社会人として仕事をして結婚して落ち着くことが、ある意味親孝行だと思っている。慎一とは紆余曲折あったけれど、やっと結婚までたどり着けそうだ。

感傷的な気分になりながら、ピザをひと切れつまんで口に運ぼうとした時だった。

「あのさ、莉奈……僕たちの将来のことなんだけど、色々考えたんだ」

き、来た!!