クールな部長は溺甘旦那様!?

店内はさほど広くなくて、全体的に落ち着いた雰囲気だ。モダンな内装で、カンツォーネが静かに流れている。お気に入りの店だけれど、最近雑誌に掲載されてなかなか予約が取れなくなってしまったのが玉に瑕だ。

「美味しそう!」

テーブルの上が色々と美味しそうなもので埋め尽くされていく様を幸せ気分で眺めてしまう。

そんな私を見て微笑む彼、慎一とは前の会社で知りあった。私より二つ年上の営業マンで、今はそれぞれ別々の会社に勤めているけれど、彼は私が入社したときの先輩だった。

飛び抜けてかっこいいというわけではないけれど、優しくて面倒見のいい人だった。付き合いだして二年目で同棲を始め、結婚したらこんな感じになるのかなぁ、と漠然と未来予想図を描いていたらもう三年の月日が経ってしまった。