クールな部長は溺甘旦那様!?

でも、社員証拾ってくれたし。専務に頼まれたら断れないし……。

納得のいかない思いはいくつもあるけれど、ここは自分が折れなきゃ仕方がない。私は社食を食べながら、今夜入れそうな店をスマホで検索することにした。

本日の日替わり定食は豚の生姜焼き定食だった。お腹もすいていたし、黙々と食べていたらあっという間に平らげてしまった。そして、何軒か店に連絡をして、やっと今夜入れそうな店を見つけて十九時に予約を取った。ありきたりな大衆居酒屋だったけれど、多分、営業部のみんなは楽しく飲めればいいはずだ。

よし! あとはみんなにメールで連絡して……と。そんなふうに思っていると、今夜の主役である剣持部長がちょうど食堂に入ってくる姿が目に入った。

「剣持部長!」

声をかけるだけなのに、なぜかドキドキと変な動悸がしてぎこちなくなってしまう。剣持部長は眼鏡をかけ、横目でちらっと私を見た。