クールな部長は溺甘旦那様!?

「君、今夜あたりにでも剣持君の歓迎会をやってくれないかな」

「今夜、ですか?」

「私も参加できればと思っていたんだが、今夜は他社との会食があってね。今日あたりならまだ営業部の社員もさほど忙しくないだろう……剣持君も口数が少ないから、少しでもみんなと打ち解けてもらえればいいと思ってね」

この時期になると、徐々に夏物の商品広告のために営業は忙しさに拍車がかかる。時間があるときに、できるだけ営業部の社員と親睦を深めさせたいのだろう。

「剣持君は先週カナダから帰国してきたばかりでね、君は知らないと思うが、彼、優秀なんだよ? アメリカの大学を主席で卒業して、国内外の支社長をいくつか務めてようやく本社に栄転してきたんだ。それで――」

忘れていた。この専務、確か私が入社する前は営業部にいて口から生まれた営業マンと呼ばれていた人だったことを……。