クールな部長は溺甘旦那様!?

それから一か月。

すっかり身体も回復していつも通り会社へ出社し、メフィーアの広告作りのために私は優弥さんの補佐として毎日奮闘していた。影山君のことが気がかりだったけれど、彼が北京へ転勤になる前に一度話をする機会があった。

『ほんと、剣持部長ってどこまでお人好しなんだろうね。本来ならこんな処分、ありえないんだけど……』

メフィーアと契約が決まり、私が入院中している間、前野社長が一年前の理不尽な契約破談を自社の手違だったと後日謝罪しに来たらしい。そして改めてアルテナと専属契約をしたいと、うちの上層部に申し出た。優弥さん曰く、機会を見て社長に話すつもりだったみたいだけれど、前野社長が謝罪しに来たことで影山君のことが上層部に明るみになってしまった。

そして会社の秩序を乱したその行為に、彼は社長から解雇処分を言い渡された。けれど結局、解雇されなかったのは、優弥さんが激高した社長を宥め、解雇処分ではなく立ち上がったばかりの北京支社へ一から社員としてやり直すために転勤という扱いにしたらどうかと掛け合ったのだ。

けれど、どんなに口外しないようにしていても、噂というものはどこからともなく漏れてしまう。影山君が北京に発った後でも、その醜聞はいまだに社内で密かにささやかれ、北京支店へ飛ばされたのも左遷だと言われていた。本当にそのつもりで北京支社への転勤を提案したのかと優弥さんに尋ねたら、ムッとした顔で言われてしまった。