「君の病室でちょうど担当看護師に会ったんだ。すでに退院したと聞いて、どこかに行くとか言っていなかったか尋ねてみた」
剣持部長にそう問われた島谷さんはずっと首をかしげていたようで、もしかしたら……と思い出したように“失恋した彼と初めて出会った場所”というヒントを彼に与えたようだ。
「俺は君と失恋した覚えもなかったし、いったいどの男との失恋を言っているのかと思ったが……。もし、俺が君に振られたらどこに行くかって考えたんだ。俺は案外未練がましい男だからな」
小さく笑うと、再び剣持部長の撫でる手が私の頭を滑り出す。
看護師の島谷さんに言われて無意識に来てしまった。剣持部長と初めて出会ったラウンジ。
未練がましいのは私も同じだ。けれど、彼と同じ思いだったことが無性に嬉しかった。
初めて結ばれた初々しいカップルのような感覚がなんとなくこそばゆい。なんとも表現しがたい不思議な感じだ。私たちはすでに籍を入れた正真正銘の夫婦だというのに。
優弥さんが私の前髪をかき分けてそっと柔らかな唇を押し当てると、そっと口を開いた。
「莉奈、まだ言ってなかったことがあるんだ」
そう耳元で囁かれるとゾクリと背筋がしなる。
「……言ってなかったこと?」
もう傷つくことを言われるのは嫌だ。
そんな不安を察したのか、頭を撫でる手が首筋を伝い、頬を撫でると自然と目が合った。
「君を愛してる。俺と結婚して欲しい」
「え?」
もう結婚しているというのに、なぜか優弥さんが私にそう言った。
剣持部長にそう問われた島谷さんはずっと首をかしげていたようで、もしかしたら……と思い出したように“失恋した彼と初めて出会った場所”というヒントを彼に与えたようだ。
「俺は君と失恋した覚えもなかったし、いったいどの男との失恋を言っているのかと思ったが……。もし、俺が君に振られたらどこに行くかって考えたんだ。俺は案外未練がましい男だからな」
小さく笑うと、再び剣持部長の撫でる手が私の頭を滑り出す。
看護師の島谷さんに言われて無意識に来てしまった。剣持部長と初めて出会ったラウンジ。
未練がましいのは私も同じだ。けれど、彼と同じ思いだったことが無性に嬉しかった。
初めて結ばれた初々しいカップルのような感覚がなんとなくこそばゆい。なんとも表現しがたい不思議な感じだ。私たちはすでに籍を入れた正真正銘の夫婦だというのに。
優弥さんが私の前髪をかき分けてそっと柔らかな唇を押し当てると、そっと口を開いた。
「莉奈、まだ言ってなかったことがあるんだ」
そう耳元で囁かれるとゾクリと背筋がしなる。
「……言ってなかったこと?」
もう傷つくことを言われるのは嫌だ。
そんな不安を察したのか、頭を撫でる手が首筋を伝い、頬を撫でると自然と目が合った。
「君を愛してる。俺と結婚して欲しい」
「え?」
もう結婚しているというのに、なぜか優弥さんが私にそう言った。



