クールな部長は溺甘旦那様!?

「それに、俺は君に怒っているんだ」

唇が外されると、剣持部長の細められた瞳とぶつかる。怒りを浮かべたというよりも、その目は不満を訴えかけている。

「俺が離婚届なんか書くわけないだろう? それに、君はいったい何度俺の字を見てきた? 偽物の筆跡だと見破れないなんて失望した」

「すみません、あまりにも……似ていて、んっ」

言い訳は許さない。というように再び唇を重ねられる。剣持部長のさわやかなフレグランスが私の脳を刺激して、そして眩暈を誘う。

「剣持部長、も、もう……誰か来たら困ります」

彼の口づけに全身がとろけてもう立っていられなかった。

「……部屋、取ってありますか?」

私の言っている意味を理解した剣持部長が一瞬驚いた顔をする。
ふたりだけになって、早く彼に抱かれたい。そんなはしたない下心も包み隠さず喘ぐと、熱を孕んだ目をした剣持部長が口の端を押し上げて囁いた。

「俺もふたりだけになりたい。けど、そうなったら……俺は今度こそ君を抱くぞ?」

え? 今度こそ……って?

「もしかして……前回、謝恩会でホテルに泊まった時のこと覚えて――」

「寝落ちしたなんて、かっこ悪くて思い出したくない。そんなこと、今はもういいだろう?」

そう言って、剣持部長がほんのり顔を赤らめた。
クールでプライドが高くてちょっぴり可愛げのある、そんな彼が愛おしくて私は頬を緩めずにはいられなかった。