クールな部長は溺甘旦那様!?

「親父の言い付けって何のことだと思っていたが、まさか離婚届だったなんてな。頭に血が上って、つい冷静さを失いかけた。こんな物、手に持っているだけでイライラする」

そういうと、剣持部長は手にしていた離婚届をびりっと、大きく破いた。そして、何度も何度も繰り返し破かれると離婚届は紙くずとなって散り散りに風に舞っていった。

「私、まだ剣持部長の妻でいいんですか?」

「当たり前だろう。俺は君を手放すと言った覚えはないし、そんなつもりも毛頭ない。君は俺の妻だ。今も、これからもずっと」

そっと腕を取られて剣持部長の暖かな胸の中へ引き込まれる。もう一度、このぬくもりに包まれることができた安堵から、私は額をこすりつける。そして、顔を埋めながら肩を震わせて堪えていた感情を一気に溢れさせた。

「もう泣くな。また君を泣かせたと重森に小言を言われる」

「すみません、私……もう、剣持部長のそばにいられなくなるって思ったから」

顔を上げると、この上なく優しい彼の視線と目が絡む。

「それならもう二度と、そんなことを思わなくなるくらいに思い知らせてやらないといけないな」

そう言いながら剣持部長は、私の顎を親指と人差し指で軽く挟むと勢いよく口づけた。言葉も、息も全部飲み込まれてしまうくらいに、そのキスは情熱的で熱かった。こんなところで人に見られてしまうかもしれない場所でと思うと、羞恥心が煽られる。