クールな部長は溺甘旦那様!?

目を丸くしている私に、剣持部長は離婚届を手にしている反対の手を高い腰にあてがって言った。

「一年前のメフィーアの契約破断の話、君はおそらく直接影山本人から聞いたんだろう? あいつが裏で何をやっていたのか。俺がもっと早く事実確認を取れていればよかったんだが……君に嫌な思いをさせてしまった、すまない」

そう言って、剣持部長は顔に後悔の色を浮かべた。

そうだ。私、事故に遭う直前、影山君とそんな話をしてたんだっけ……。

影山君は私を妬んで、根も葉もない先方の情報漏えいという嘘をメフィーアの社長に吹き込んだ。そのせいで、何もかもが狂ってしまったのだ。

「俺は、一年前にメフィーアが理不尽に契約を白紙にしたのは、なんかしら本当の理由があるんじゃないかって睨んでいた。元々、あの会社の社長とは前から懇意にしていたし、クライアントに昔の話を蒸し返すのはどうかと思っていたが……社長と飲んで、酔っぱらった隙に話を聞き出すことができたんだ」

やっぱり、剣持部長は私のことをずっと気にかけてくれていた。表情に浮かんでいた疲労の影も、そのひとつだったのだと思うと胸が締め付けられる。