クールな部長は溺甘旦那様!?

「未練がましく無意識に初めて彼と出会った場所に行っちゃったりして……あ、す、すみません! こんなこと言って、あの、短い間でしたけど……年も近いから勝手に親近感湧いちゃって……いくらなんでも不謹慎ですよね」

入院してから彼女とは毎日のように顔を合わせ、その明るい性格に何度も救われた。時にはまるで長年の友人のように打ち解けて話に花が咲いたこともあった。

「不謹慎だなんて……そんなことないです。本当にお世話になりました。私も、彼と初めて出会った場所にでも行ってみようかな」

そう言ってペコリと私が頭を下げると、島谷さんも笑顔で「失礼します」と言って病室を後にした。


退院の手続きを終えて病院のエントランスを出ると、たった数日だというのに季節が初夏へ移り変わった気配を感じる。日も長くなって、十七時になってもまだ空は明るい。けれど、バッグの中にある離婚届が私の心をずっと曇らせていた。