クールな部長は溺甘旦那様!?

綺麗な字……。

初めは何も考えられなかったけれど、こうして現物を手にして見ると、とうとう堪えきれなくなった感情が嗚咽とともにこぼれた。離婚届に顔を埋めて肩を震わせる。

剣持部長の字は達筆だけれど少し癖があった。それを知っているだけに、この離婚届の筆跡は確かに彼が書いたものだと思わざるを得なかった。

すると、コンコンと部屋のノックがされてはっと顔を上げて我に返る。

「失礼します。検査結果が出ましたよ」

「あ、はい」

私が入院した時からお世話になっている担当看護師の島谷さんが、ニコリとカルテを片手に笑顔で歩み寄る。

「先日も検査してあったので、今日の結果も早めに出たみたいです。特に問題はないと医師から……どうかしましたか?」

「え? あ……」

うっかりしていた。私はあわてて離婚届をさっと隠し、拭い忘れていた涙をゴシゴシと袖で拭いた。

「もしかして、どこか痛みますか?」

心配げに眉を八の字に下げて、私の顔を覗き込んでくる。こんな泣き顔、見られたくないのに。

「すみません、大丈夫です。何でもないんで……それより私、もう退院できるんですか?」

「はい。一応予定では明日の退院になっていますが、まだ手続きの窓口が開いていますし、ご都合がよければ今日でも大丈夫ですよ。それとも明日まで様子を見ますか?」

これ以上、どこをどう様子を見るというのだ。今からでもここを出られるのならさっさと退院したい。