クールな部長は溺甘旦那様!?

「優弥さんは剣持家のご子息として、相応しいご令嬢と結婚するのが自然の流れなのです。何度もお見合いを断っては勝手なことばかりして、こちらも手を焼いているところでした。先日、とある政界のご令嬢とお見合いの話があったのですが……相手方から優弥さんの身辺調査が入り、すでに婚姻関係にあったと……それでお見合いの話が破談になってしまったのです」

重森さんが何を言っているのかはわかる。けれど話の筋も見えないし、意味も理解できなかった。結婚しているのに親がお見合いの話を取り決めようとするなんて、おそらく剣持部長の家族は、私と結婚したことを今まで知らなかったのだろう。私も姉にしか結婚したことを伝えていないけれど、結婚とはふたりだけの問題というわけにはいかないのだといまさら思い知らされた。

「なんの知らせもなく優弥さんがすでに婚姻関係を法律上結んでおられることを知って、父上様でいらっしゃいます健太郎様が激怒されて……」

重森さんは入院中の私に気を遣ってか、それ以上紡ぐことなく言葉を濁した。
要するに、剣持部長のお父様が勝手に結婚したことに反対して、私と離婚するようにと重森さんは言い付かってきたのだ。そして離婚届に剣持部長が記入しているということは……彼はそれを受け入れたということだ。

――君に伝えなければと思ってタイミングを見計らっていたんだが、少し言いにくい話があるんだ……。