謝恩会のあった日、靴擦れを起こしてホテルの部屋で休んでいた時に剣持部長がそんなことを口にしていたような気がする。
「自分もクソ忙しいのに、契約破談になった本当の理由をずいぶん前から嗅ぎまわってたし、最初に目を付けたのが俺だなんて……剣持部長もさすがだね。はぁ、バレちゃったからには、俺は多分この会社にはもういられないだろうな」
影山君が再び溜息をついてそうぼやいた。
一年前の契約破談のことはもう過去の出来事として忘れようとしていたけれど、できることなら本当の真実を知りたかった。そして、すべて事の真相を聞いた私は怒りや悲しみなどといった感情もなく、ただの虚無感で抜け殻のような感覚を覚えた。
「影山君の話はわかった」
「俺のこと、許せないだろ?」
「許すとか許さないとか、今はそんなこと考えられない。でも、きっと一生忘れることはないと思う」
“忘れることはない”というのは、すべてなかったことにして、水に流すことはできないという意味だ。それを理解したように影山君は小さな声でひとこと「ごめん」と呟いた――。
「自分もクソ忙しいのに、契約破談になった本当の理由をずいぶん前から嗅ぎまわってたし、最初に目を付けたのが俺だなんて……剣持部長もさすがだね。はぁ、バレちゃったからには、俺は多分この会社にはもういられないだろうな」
影山君が再び溜息をついてそうぼやいた。
一年前の契約破談のことはもう過去の出来事として忘れようとしていたけれど、できることなら本当の真実を知りたかった。そして、すべて事の真相を聞いた私は怒りや悲しみなどといった感情もなく、ただの虚無感で抜け殻のような感覚を覚えた。
「影山君の話はわかった」
「俺のこと、許せないだろ?」
「許すとか許さないとか、今はそんなこと考えられない。でも、きっと一生忘れることはないと思う」
“忘れることはない”というのは、すべてなかったことにして、水に流すことはできないという意味だ。それを理解したように影山君は小さな声でひとこと「ごめん」と呟いた――。



