クールな部長は溺甘旦那様!?

「ほとんど決まった話だから、メフィーアとの契約は間違いないだろうって河辺部長に言われて、その暁には俺も昇進が約束されていた。お膳立てされたものをうまいところだけ持ってくなんて、何かあるんじゃないかと思っていたけど……うまい話にはやっぱり裏があった」

影山君はその当時のことを思い出したのか、深い溜息をついて夜空を見上げた。

「名誉と昇進の代わりに、河辺部長の娘を婚約者として紹介された。まぁ、それでもいいかって思ったけどね、タイプじゃなかったし、上司の娘なんて後々面倒だし、丁重にお断りした結果……担当の話が松川さんにいっちゃったってわけ」

初めて影山君から聞かされる事実に、私は声を発することすらできなかった。本来なら怒り狂ってしまいそうなのに、その頂点に達する前に思いとどまった。なぜなら彼があまりにも切なげな顔をしていたから。

「松川さんはその当時、バリバリに仕事をこなして部署内でも成績は優秀だっただろ? メフィーアの担当も任されて……なにも知らないくせに勝ち誇ったように見えて、正直面白くなかった。俺は河辺部長から当てつけのように雑用みたいな仕事寄こされて、そうしたらだんだん松川さんが契約に失敗すればいいって思うようになっていったんだ」

「そんなことで私を妬んでたの?」

すると、影山君は露骨にむっとした顔になって言った。