クールな部長は溺甘旦那様!?

「そう。剣持部長の力量をね。土壇場でトラブルが起きたら、彼はどう出るのかってね。これは男の嫉妬だよ、自分より仕事ができるやつなんて正直目障りだったし」

影山君が三日前まで予算変更の連絡をしなかったのは、やはりわざとだった。しかも、呆れるような自分勝手な理由で。

私は緊張で震えていた指先が、今はどうしようもない怒りでワナワナとしているのがわかった。

「ひどい……もし、企画書が間に合わなかったらどうするつもりだったの?」

何食わぬ顔で二本目の煙草に火を点ける影山君に、山のように罵声を浴びせてやりたい。けれど、色んな思いが交錯してうまく言葉にならなかった。

「別に、間に合わなかったら……剣持部長はそれだけの奴だったんだなって思うだけだよ。正直言うと、俺の中でメフィーアの契約云々はどうでもよかった。気に食わない奴が俺の目の前でつぶれる姿が見られるなら、ね」

影山君はうそぶいてニヤリと笑った。

な、なに言ってるの……? 影山君、本気でそんなこと思ってたなんて、嘘だよね?

彼の発言が信じがたくて放心してしまう。影山君は大切な友人だし、私だって本当は疑いたくはない。