クールな部長は溺甘旦那様!?

「コンペの順番は一番最後だ」

剣持部長がパソコンの画面を見ながら私に言った。

コンペの有利順位として、一番最初か一番最後がいいと言われている。同じ内容の提案がかぶったとしても、初めに発表してインパクトを与える初頭効果か、斬新な企画でクライアントにガツンとより濃いインパクトを与える親近効果を狙うかだ。

「私たちの企画提案は、最後の方がいいかもしれませんね」

「ふぅん、君もわかっているじゃないか」

剣持部長がパソコンの画面から視線を私に移し、眼鏡をかけなおすと不敵に笑った。

「てっきり、とっとと最初の方で終わらせてホッとしたいとでも言うのかと思ったが……」

「まぁ、ホッとしたいという気持ちは否めませんけど」

プレゼン前は異様な緊張感が漂っていて、周りの人たちも緊迫した様子だ。過去に何度かプレゼンは経験しているけれど、こういった大型のコンペは初めてでどうしても気持ちが落ち着かない。

「大丈夫だ、君はただ俺を信じてくれさえすればいい。失敗なんかしない、必ず勝ち取ってみせる」

そう言って、剣持部長がそっと長机の下にある私の手の上から自分の手をそっと重ねてすぐに離れていった。