クールな部長は溺甘旦那様!?

「外回りをするなら、傘は必需品だろう?」

確かに彼の言うとおりだ。前に外回り中に突然雨が降ってきたことがあった。濡れたままで先方のところへ行くのは忍びなくて、わざわざ下から上まで全部買い直したのをふと思い出す。

まだ昨夜の尾を引いているのか、剣持部長はなんとなくそっけない。

なにを話すでもなくエレベーターに乗る。そして部屋に入ると、自動で点灯した玄関ライトに照らされて、剣持部長の右側半分がずぶ濡れになっていることに気がついた。

剣持部長、もしかして私が濡れないように傘を寄せてくれてたの……?

そのさりげない彼の優しさに、鼻の奥がツンとする。