クールな部長は溺甘旦那様!?

「影山には事実確認をしたのか?」

「いいえ、亜美がそう言っていただけで……なにも」

「確かにそう言われたら気になるのはわかる。けど、今、君が集中しなければならないのはなんだ?」
剣持部長が手にしていたコーヒーカップをテーブルにそっと置くと、私に向き直ってまっすぐな視線を向けた。

「企画書です」

「わかっているじゃないか、影山のことを考えるのは企画書が通ってからでもいいだろう」

「……はい」

どことなく剣持部長がイラついているようにも見える。目は少しも笑ってはいない。

「影山のことを考えていて、企画書がお粗末にならないようにしてくれ」

「そんな! 確かにまだ不充分な企画書ですけど……それと影山君のことは関係ありません」

「ふぅん、それはどうかな」

「どういう意味ですかそれ」

徐々に刺々しい雰囲気が部屋の空気までも澱ませる。まるで私が影山君にうつつを抜かして仕事を疎かにしているとも取れる発言に、ふつふつと怒りが湧いてくる。

「余計なことを考えている暇はないはずだ」

剣持部長が冷たく言い放つと、私はつい冷静さを欠いてカッとなってしまった。