「先日、亜美と影山君と三人で飲みに行った時に影山君が私に突っかかってきたんです。私が今の仕事を快く思っていない社員がいることを知っているかって」

声のトーンを落として言うと、剣持部長は目を細めて少し表情が険しくなった。

「それを君は気にしているのか?」

「いいえ、一度任された仕事はやり遂げるつもりだし、そんなふうに言われたからって仕事を降りる気はないって言いました」

「そうか、ならいい」

淡々としているけれど、剣持部長は私の話を真剣に聞いてくれていた。けれど、もし私がそういうふうに言われたのが原因で落ち込んで悩んでいるとしたら、そんなことを気にする私に失望するかもしれない。そんなメンタルが弱くてどうするんだ? と言われるのが目に見えている。

「その飲み会の後、亜美に少し気になることを言われて……それがずっと引っかかってるんです」

「気になること?」

私は俯いていた顔をあげ、少し逡巡したあと影山君のことをぽつりぽつりと話した。

剣持部長がどう思うかわからなけれど、ゆっくり彼がわかりやすいようにかいつまんでそのことを伝えると、剣持部長はしばらく考え込んで難しい顔をしたまま一点を見つめていた。