「とにかく、週明けに最終的な企画書を見せてくれ、そこで煮詰めていこう」

「わかりました」

「ところで……」

企画書の段取りの話が終わると、剣持部長が話をやんわりと切り替える。

「君は仕事中にぼんやりしていることが最近増えたな。俺が見ていないと思ったか?」

「そ、そんなことは……」

ない。と言いたかったけれど、確かに心ここにあらずと亜美にも言われてしまったくらいだ。否定はできない。

「すみません、集中します」

「なにか話したいことがあるんじゃないのか?」

今夜の本題はここからだ。私は亜美から聞いた影山君のことを剣持部長に話すべきか迷っていた。彼にとってはどうでもいい余計なことかもしれない。けれど、話をして剣持部長がどう思うか知りたかった。

「たいしたことじゃないんですけど……」

俯いてミルクの入ったコーヒーをじっと見つめ、どうやって切り出そうか言葉を考えてしまう。剣持部長は口を挟まないように配慮してくれているのか、私が話し出すまで無言のままだった。