クールな部長は溺甘旦那様!?

「剣持部長、私、頑張ります。絶対に契約取りましょうね」

「あぁ、期待している」

部屋を出て行く手前でそう声をかけると、彼は肩越しに振り向いてほんの少しだけ笑顔になった。いつもは毒舌だけど、こんなふうに笑う彼が好きだ。

「……それと」

すると彼はひとこと付け加える。

「君、なにか考え込んでいることがあるだろう? ない、はずはないよな?」

考え込んでいること……もしかして、影山君のこと?
あまり考えないようにしようと亜美に言っておきながら、剣持部長に見透かされてしまうほど、顔に出ていたということだ。だから企画書にも影響が出ていると言われているようで気まずさを覚えてしまう。

「今夜は早く帰れると思うから、その時に話は聞こう」

そう言って、剣持部長は私の返事を待たずに部屋を出て行った。

はぁぁ。私の馬鹿。

脱力しながら長机に突っ伏すと、私は長い息をこぼした。