クールな部長は溺甘旦那様!?

顔をあげると彼の理知的な目と視線がバチリと合う。心臓が跳ね上がるような瞬間に、時が止まった。

これって、ナンパ!?

見れば見るほど見目麗しい顔立ちをしているその人に、私は言葉が見つからず、バッグを胸に抱いてただコクコクと頷いた。

ひとりです! 寂しい夜をこれから過ごそうと思っている虚しい女なんです!

ほんの少し上目遣いで彼を見ると、細い顎に親指と人差し指をあてがいながら、なにか考え込むような表情でじっと私を見つめている。

「急にこんなことを言ってすまないが、頼みがあるんだ」

頼み? なんでしょう? こんなイケメンから頼まれごとなんて!

「私にできることなら……」

なんなりと。と、完全に浮かれ気分になった私は、つい弾みでそんなことを言ってしまった。彼は私が了承したと解釈したのか、そのまま私の手を握ると、ずんずんとラウンジの中へ入っていった。