「安心しろ、なにも全部君に丸投げするつもりはない。実際のプレゼンは俺がやる。君の今までの実績を見込んで言ってるんだ。やれるな?」

剣持部長のまっすぐな視線が不安でいっぱいの私を捉える。その瞳に“大丈夫だ”と背中を押されたような気になって、不思議とやる気がみなぎってくる。

そうだ。これは、私の中の壁を越えるチャンスだ。剣持部長がくれたこの機会、いつまでも逃げるわけにはいかない。

「わかりました。任せられたからにはがむしゃらに頑張って採用を勝ち取りに行きます!」

「いい返事だ」

剣持部長がやんわりと目を細めると、そっと私の頭を撫でた。それはあまりにも優しくて、心地よくて、まるで猫のように頭を擦り付けたくなってしまう。

これから始まる剣持部長との二人三脚に募る不安もあるけれど、彼とふたりでコンペに勝ちに行くため、私はもう過去を振り返らずに前に突き進む決意を新たにした。