メフィーアが発表する新商品はウェディングアクセサリーの代表格、ティアラだった。いくつものダイヤやクリスタルが散りばめられていて、小花やリーフがモチーフになっている。派手すぎず、上品な可愛らしいティアラだった。

「君にもうひとつ、誕生日のプレゼントだ」

「プレゼント? ワインを頂いたのに……ありがとうございま――ッ!?」

剣持部長が鞄の中から再びなにかを取り出して、なにかと思いワクワクしていると、私に手渡されたのはコンペ用の企画書の雛形だった。

「あの、これは……いったい」

「競合コンペは来月の初旬だ。そこで、クライアントへのプレゼン企画を君に任せたい」

「ええっ!?」

今はもう五月の下旬、コンペまでに二週間くらいしか時間がない。その二週間で、クライアントに気に入ってもらえるような内容のプレゼンをするために企画・提案を考えなくてはならないということだ。しかも、それを私に……。