「もし、君が恋愛をして好きになるとしたら……影山みたいな男なんだろ?」

「……へ!?」

な、なんでそうなるの? 私が影山君を好き? そんなことひとことも言ってないのに。
あまりにも突然な質問に、思わず絶句してしまう。

剣持部長は完全になにか勘違いをしている。影山君とは確かに気の置けない仲だと思っているけれど、友達みたいなものでそんな彼にときめくような恋愛感情なんかない。返答に困っていると、剣持部長が変なことを聞いた。と自嘲気味に笑った。

「影山君は大切な友達です」

「ふぅん……まぁ、いい。君との関係は俺なりに楽しんでいる。結婚したのだから、君も俺をうまく利用してくれ」

違います! 私が好きなのは――。

そう言いかけそうになって私は慌てて言葉を呑み込んだ。そんなことを言えば、きっと剣持部長は困る。女性に言い寄られるのが嫌で結婚したというのに、私が好きになってしまっては本末転倒だ。