「さっき剣持部長が話していた前野さん、実は一年前に河辺部長に契約交渉を任された時の担当責任者の方だったんです。うまく話も進んでいて、最終段階の打ち合わせに行った時……今までの話を白紙にして欲しい、今後いっさいアルテナと契約しないって言われたんです。だから気まずくて……」
思い出すだけでも夢に見る嫌な過去だ。気がつくと、私の沈んだ表情を剣持部長はじっと無言で覗き込んでいる。この話を聞いて彼がどう思うかわからないけれど、その視線から逃れるように、私は顔をそらした。それにさきほどの
自分の大人気ない行動もあってまともに彼の顔を見ることができなかった。
「なるほど、そんなことが……。君は、以前かなり優秀な営業だったんだろ? 実は君のこと、名前だけだが海外にいる時から知っていたんだ。君が落とした社員証を拾った時、まさかとは思ったが……」
「え!?」
驚いて目を丸くすると、剣持部長がふっと笑った。
思い出すだけでも夢に見る嫌な過去だ。気がつくと、私の沈んだ表情を剣持部長はじっと無言で覗き込んでいる。この話を聞いて彼がどう思うかわからないけれど、その視線から逃れるように、私は顔をそらした。それにさきほどの
自分の大人気ない行動もあってまともに彼の顔を見ることができなかった。
「なるほど、そんなことが……。君は、以前かなり優秀な営業だったんだろ? 実は君のこと、名前だけだが海外にいる時から知っていたんだ。君が落とした社員証を拾った時、まさかとは思ったが……」
「え!?」
驚いて目を丸くすると、剣持部長がふっと笑った。



