クールな部長は溺甘旦那様!?

「いったいどうした? そんな顔して」

「……すみません」

ただ謝ることしかできなかった。こんな時にあの忌まわしい過去に振り回されるなんて情けなくてやりきれなくなる。それに、前野さんは仕事相手だというのに馬鹿みたいに嫉妬してしまったのも事実だ。

「あの! 謝恩会ももう終わりですよね? だったら私、もう帰ります」

いたたまれなくてそう言うと、私はくるっと背を向けた。

「おい、待て」

呼び止める剣持部長の声も無視して、大股でロビーに出る。訳も分からずいきなり不機嫌になったりして自分が嫌になる。きっと剣持部長もこんな私に呆れているに違いない。泣きたくなる気持ちを抑えてエレベーターホールに向かおうとすると、ものすごい力でぐいっと肩を掴まれて身体を反転させられた。

「ッ――! 剣持部長……」

「待てと言ったのが聞こえなかったのか?」

眉間にしわを寄せ、険しい視線で私を見下ろす。明らかに剣持部長は怒っていた。