クールな部長は溺甘旦那様!?

「篠崎社長……」

剣持部長は気まずそうに顔を歪ませてから、さっと作り笑顔に切り替えて差し出された篠崎社長の手を握った。

「久しぶりじゃないか、元気だったか? 聞いたよ、本社に栄転したそうじゃないか」

「ええ、恐縮です」

その話し方から、おそらく剣持部長の取引先の会社の社長といったところだろう。篠崎社長は剣持部長しか見てなくて、私には目もくれない。

「君が帰国してきたら、契約を増やそうと思っていたんだ。もちろん受けてくれるな?」

「はい、喜んで、こちらこそよろしくお願いします」

剣持部長が軽く頭を下げる。私は彼のその姿を見てわかった。前に自分の仕事にも影響すると言っていたけれど、こういう場を利用してビジネスの幅を広めるのも彼の仕事のやり方なのだと思った。