クールな部長は溺甘旦那様!?

「おい、どうかしたか?」

「い、いえ、何でもないです。行きましょう」

笑顔を向けると、剣持部長は怪訝な顔をしながらも頷いた。

うぅ、やっぱり新しい靴なんて履いてくるんじゃなかった……。

なるべく剣持部長に気づかれないようにしていたけれど、やはりおろしたての靴をこういう場で履くものじゃないと後悔する。

それから剣持部長は私を連れて、色んな顔ぶれの来客と握手や挨拶を交わして回った――。


「少し休むか? 君も疲れただろう?」

「そう、ですね」

あ~やっぱり痛い!! 絶対皮むけてるよね……。

小指の痛みに我慢できなくなった私は、休むついでに「お手洗いに行ってきます」と言い出そうと、剣持部長に声をかけようとした。けれど……。

「剣持君じゃないか、やぁ、こんなところで会うなんて偶然だな」

すでに酔っているのか、大きな声で笑いながら小太りの中年男性が秘書らしき女性を連れて歩み寄ってきた。